Dr.テレビたん担当の 松本 龍です。
この時期、ドクターヘリや
救急車で搬送されることが多い 「熱中症」
今回は、熊本赤十字病院 救命救急センター 救急部の 草野先生に
熱中症についての応急処置についてお聞きしましたのでおさらいします。
Q : どんなときに熱中症になりますか?
A : 熱中症とは、高温多湿の状況で体の水分や塩分のバランスが崩れたり、
体温調節機能が働かなくなって起こる症状をいいます。
熱中症になる要因は 「環境」 と 「個人の状態」 の二つに分けられます。
環境として挙げられるのは、気温(室温)が高い、湿度が高い、風が弱い、
日差しが強いといった状況です。
具体的に言うと、
※屋外での活動中や密閉された室内、
※車内でエアコンを使っていない場合、
※工事現場、運動場、体育館、お風呂場などがあります。
次に個人の状態では、年齢で言えば、
※小児や高齢者の他、スポーツ活動が多い若年層に見られます。
※脱水や体調がすぐれない時、肥満体型、暑さに慣れていない
といった場合にも起こりやすい傾向があります。
Q : 熱中症の症状を教えてください。
A : 熱中症は 1度から 3度 までに症状をわけて考えます。
(Ⅰ・Ⅱ・Ⅲは、環境依存文字のため、1・2・3と表記します)
1度は、現場の応急処置で対応できる軽症で、
「めまい」 「立ちくらみ」 「筋肉のこむら返り」
「汗を拭いても拭いても出てくる」症状です。
2度は、病院搬送が必要な中等症です。
「頭痛」 「吐き気」 「嘔吐」 「全身がだるい」 などが当たります。
3度は、入院して集中的な治療が必要な重症で、
「意識がない」 「けいれんを起こす」 「呼びかけても返事がない」
「いつもと違う状態」 「まっすぐ歩けない」 「体温が高温(39度以上)」
といった状態です。 注意する点は、体温が36度や37度でも熱中症の
場合は十分にあります。 体温が低いからといって熱中症ではないと
判断するのは危ないです。
Q : 熱中症はどんな対処をすればいいですか?
A : まずは、意識があるかどうか、返答がしっかりできるかどうかを確認
してください。その時点で意識がなかったり、返事がおかしい場合は、
救急車を呼んでください。
意識に問題がなさそうでしたら、風通しのよい日陰に移動させて
服を脱がせて冷却を行います。
冷却の方法は、「ぬるま湯」 か 「常温の水」をかけて扇いでください。
水の気化熱で体温が下がります。 霧吹きがあるとなおいいですね。
冷たい水は、局所的に急激な温度低下を起こすので避けてください。
脇や、そ径部を氷のうなどで冷やすのも効果的です。
その後で、スポーツドリンクなどを飲ませてください。
ただし、「嘔吐」や「意識障害」で水分が取れない場合は、点滴が
必要ですので、医療機関へ行きましょう。
Q : 熱中症の予防法はありますか?
A : 暑さや、直射日光を避けるため、日陰を選んだり、
日傘や帽子を使いましょう。 汗を吸いやすく乾きやすい服を着用し、
熱を吸収しやすい黒系の服をさけてください。
こまめに水分をとることも重要です。のどが渇いたと感じたときは
体はすでに脱水状態にあります。のどが渇く前に水分補給してください。
お茶やふつうの水よりも塩分を含むスポーツドリンクを選びましょう。
お酒は尿の量を増やし脱水してしまうので注意してください。
また、急に暑くなる日は注意が必要です。
体が暑さに慣れていない時期は熱中症が発生しやすくなります。
日常的に運動するなど、暑さに備えた体作りをしましょう。
それから、汗は暑さに対して最も重要な働きをします。
汗は血液中の水分と塩分から作られますので、
食事抜きや水分を取っていないなど体調が良くない時は
暑さを避けるように心がけてください。
Q : 暑い夏 気を付けることは?
A : 急に暑くなるこの時期は、スポーツイベントなどが多く開かれますので、
熱中症で運ばれてくる患者さんは多くなっていきます。
しっかりとした知識を身につけ行動すれば、
熱中症は十分に予防できるので、みなさん気を付けてこの時期を
お過ごしください。
「過去の放送内容」 から草野先生にインタビューした
熱中症に関する動画を見ることができますよ! ぜひご覧ください!