Dr.テレビたん担当の 松本 龍です。
さっそくですが、私が左手に持っている 黒・赤・黄・緑のタグがついた札を
みなさんご存じですか?
これは、「トリアージ・タッグ」と呼ばれる識別表で、地震などの災害時や
非常時には、短時間に多くの方がケガをし、医療機関での診療や治療が
必要になります。 その際に、「病気やケガの緊急度や重症度」を
判定して「治療や搬送の優先順位を決める」ための目安になる札です。
これは、「簡易カルテ」としても利用します。
熊本市中央区神水にある、くわみず病院のリハビリ室です。
5月31日 くわみず病院 にて救急学習講演会がありました。
テーマは 「 救急・災害時のトリアージ 」と題し、
熊本赤十字病院 救命救急センターの 奥本 克己先生が講演されました。
さっそく難題です。
5月31日 19時 (ちょうど講演が始まった時間です)
県庁通りでバス同士の衝突事故が発生。
多数の傷病者が閉じ込められている模様。
救急隊が現場でのトリアージを求めています。
くわみず病院にも多数の傷病者が来そうです。
「さぁ! どうしますか?」 「誰が現場にいきますか?」
「どこで誰が、多数の傷病者のトリアージを行いますか?」 など質問です。
これは、昨年3月11日 東日本大震災時の石巻赤十字病院での様子です。
毎日(平常時) 12台の救急車が 石巻赤十字病院に搬入されます。
3月11日(地震当日) は 14台
翌日の12日は、 104台
13日は、 94台。 14日は、150台。 15日は、62台。
16日は、 98台。 17日は、100台の救急車が搬入されたそうです。
地震が起きた日が14台って少ないと感じませんか?
そうなんです。 地震が起きた 3月11日は、
救急車も津波で流されてしまい、救急車での搬入ができなかったのです。
翌日の12日からは、全国から救急車の応援もあり、搬入が広がりました。
戦争があった時代にも 「トリアージ」は行われていたそうで、
戦場救護所では、「軽度の負傷者から優先的に治療」していたそうです。
これは、治療を行いすぐに前線へ復帰させる意図があったようです。
現代では、通常の医療は 「個々の患者さんへ最良の医療を行うこと」が
大事ですが、災害医療では 「最大多数への最大医療」 が大事。
そこで、災害時医療対応の原則が生まれました。
CSCATTT (災害時医療対応の原則)
Command & Control:指揮と連携
Safety:安全
Communication:情報伝達
Assessment:評価
Triage:トリアージ
Treatment:治療
Transportation:搬送
そして、トリアージの際に重要な判断基準
START (Simple Triage and Rapid Treatment) 法について学びました。
明日のブログでは、START法や、トリアージの問題点などお伝えします!